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さる3月24日(水)午後7時から,仙台のイズミティ21小ホールで,「仙台ピアノデュオの会」主催の第14回のデュオコンサートが,「フランス音楽よりデュオの名曲を集めてvoL2」と題して開催された。*1) わがままを言うようだったが,主催者には「プレ・トーク」の開始と演奏の開演時間は,チラシ等に明記していただくようにお願いしておいた。ずっと以前の事になるが,演奏前にピアニストとゲストが話をするコンサートで,トーク中に聴衆の中から「早く弾け!」という野次があり,会場の雰囲気が凍り付いてしまった現場に居合わせた経験がある。 さて,肝心なコンサートの内容だが,今回が14回を数えるだけあって,全体的に極めて高い水準の演奏であった。一人の指導力の強い先生の門下生グループではない場合,メンバーは単なる仲良しグループのようになってしまい,お互いの演奏の質を向上させる努力を欠く事が多くなってしまいがちだが,この会はまったく違う。 コンサートの前には必ず講師を招き,それも1回ではなく2度目にはホールでのリハーサルも行っており,今回の講師は「連弾ネット」でもお馴染みの中井恒仁氏*2)。 そうした努力が実を結び,どの組もバランスが良く,そして良く歌っていた。聴衆の入りも上々で400席ほどの客席に320名以上の入場者を数え,幸いにも私のトーク中に逃げ出す人も見かけなかった(ように思う)。 今回のプログラムは,フランスの2台ピアノ作品の名曲を集めたものであるが,聴く機会の稀な作品も含まれていた。シャミナードの「交響的二重奏曲」と,サン=サーンスの「死の舞踏」のギローによる2台8手版である。 「交響的二重奏曲」は,「シャミナード=サロン音楽の作曲家」という一面的なイメージを払拭するのに格好の力作,大作であり,シャミナードの華麗さと輝かしさ,そして親しみやすさが,重厚な迫力と力強さとほどよくマッチしており,もっと演奏されて当然の魅力的な作品である。 「死の舞踏」の2台8手版も珍しい。2台8手の演奏は4人がタイミングを合わせる事に神経を使い過ぎ,メトロノーム的なリズムの,詰まらない演奏になりがちだが,当夜の4名は2台8手の演奏にも熟達している様子で,バランスがとても良く,ここでもメロディが良く歌われていた。 「仙台ピアノデュオの会」はこの時点で会員数24名。コンサート前の講師による講習会のほか,毎月1回の例会を持ち,毎回ほぼ半数の会員が参加するという。例会では2組ほどが演奏し,会員同士で批評し合うそうだが,こうした真蟄な活動状況は,デュオの会として一種の理想的な姿であろう。 また東京でのデュオの演奏会場で,会員の方々をしばしばお見掛けするが,その熱心さにもいつも感心させられる。当然,日頃のこうした積極的な姿勢が,当夜の高度な演奏に結実していたと思う。 この会は会員募集中で,まず例会を見学して様子を見ようという方も歓迎している(見学無料。希望者は事務局022-267-9540に電話か,「連弾ネット」のトップページの「連弾ネットピープル」の「仙台ピアノデュオの会」の文中の「こちら」からメールで連絡を)*3)。 デュオに興味をお持ちで近辺の方は,まず連絡を取ってみてはいかがであろうか。この会は過去の演奏記録によれば,実に多くの連弾,2台ピアノ作品を演奏しており,今後もこの会の益々のご発展をお祈りしたい。
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