2.佐々木素&山内知子ピアノデュオリサイタル(2007.1.18) |
1月13日のアコスタディオでの連弾パーティーで, マスネの「組曲第1番」を詩情に満ちた演奏で披露して下さった 佐々木さん,山内さんのデュオリサイタル*1)が, その翌週,東京文化会館小ホールで行われた。 最初の曲目,フランクの「プレリュード,フーガと前奏曲」が 柔らかな音色で,抑制の利いた適度なルバートを伴って 静かに,しかも表情豊かに流れ出した時, 潜越ながらお二人のこのリサイタルのコンセプトの一部が かいま見えた気がした。 続く「六人組」紅一点のタイユフェールは, 一般的に「女性らしい」と思わせる作品ばかりではなく, 雄大なスケールを感じさせる作品もある。 この日は豊かなスケールを感じさせる演奏によって 「野外遊戯」のタイトルを納得させられた次第。 ドビュッシーによる大曲,難曲でもあるラヴェル編の「夜想曲」が 前半の締め括り。 パステル・カラー調の色彩感の演奏だったように思う。 後半はマスネの「組曲第1番」から。 今まで国立音大の図書館にしかなかった楽譜だが, 連弾パーティーでの佐々木さんのお話通り, 田中一実氏が盛んに推薦していた フランスの楽譜店,di-arezzo*2)のサイトを見たら, 喜ばしいことに再版されていた。 珠玉のような小品とは,こういう作品の事であろう。 今後はレパートリーに加えるデュオも確実に増えるのでは。 シャミナードの「アンダンテ」ともども, 曲想に合わせてたっぷりとしたロマンティックな歌を聴かせていた。 最後はカサドシュの「地中海地方の踊り」。 極めて洗練された舞曲としての異なる性格を弾き分け, 特に速いテンポの両端の舞曲は楽しかった。 アンコール3曲もプーランク,シャブリエ,ラヴェルという メイン・プログラムに合わせた洒落た,そして凝った選曲。 さすがにお疲れになったご様子だったが, またそれはそれでシャブリエの楽しさ,にぎやかさを一層増していた。 佐々木様,山内様,充実した内容の素敵なリサイタル, ありがとうございました。 |
【2007年3月1日入稿】 |
【参考情報】 |
*1) 佐々木素&山内知子ピアノデュオリサイタル チラシ *2) di-arezzo |