KPMF (Kurosawa Piano Music Foundation) は、2008年1月にアメリカ・カリフォルニア州シリコンバレイに設立された財団です。発足以来若い人たちにピアノ・アンサンブルの美しさや可能性を伝え続けるボランティア活動を展開しています。2007年10月設立の連弾ネットとは兄弟分。ピアノ・アンサンブルの真の魅力を探求する姿勢は同じです。KPMFと連弾ネットは、グローバルな広がりを視野に入れて、できる限りの連携を図ってまいります。
2010年6月21日〜26日にわたって開催された "US-Japan Cultural Exchange through Piano Ensemble Music" "3rd International Piano Music Festival"には、連弾ネット正会員の瀬尾久仁&加藤真一郎ピアノ・デュオ、立花茂生氏(尺八)および連弾ネット代表理事・豊岡正幸が参加しました。ここでは立花茂生さんのレポートをご紹介します。
米国KPMF(黒沢ピアノ音楽基金)主催のコンサートに参加して

2月の末に、連弾ネットの豊岡氏より米国シリコンバレー地区での KPMF のイベントについて打診があった。 門外漢である尺八奏者が参加すること、および豊岡氏の参加も現状では未定であるとのことから、その時は参加に関しては やや半信半疑だった。4月に入り、具体的化するとともに大急ぎで準備にとりかかった。

KPMF の計画は、 3rd International Piano Music Festival Educational Sessions and Concerts というイベント本体と、 それに先だっての US-Japan Cultural Exchange through Piano Ensemble Music というイベントを実施する一週間に渡る意欲的なものだ。

US-Japan Cultural Exchange は6月21日、22日の2日間に渡る、ピアノを中心とした日米文化交流を図るコンサートということで、 初日は日米の作曲家による歌や日米の作曲家によるピアノデュオ作品の紹介、翌日は日本の伝統楽器を 中心としたアンサンブルの紹介とラグタイムというコントラストの高い企画であった。

私は、この日本伝統楽器のセッションの40分を担当することになり、米国の皆様にどのように伝統的な音楽の アンサンブルを楽しく伝えるかを検討することになった。ピアノのイベントでもあり、伝統楽器とピアノのアンサンブルを軸にしながら米国の皆様にはなじみの薄い和楽器の紹介や、楽譜の紹介を組み立てた。

日本の伝統音楽のアンサンブル紹介の為に、現地で琴や三味線の演奏活動をされている、Shirley Muramoto 氏、Brian Wang氏の協力をお願いし、日本の伝統的な三曲合奏や宮城道雄の 「春の海」などの定番曲採り入れた。 また、現地で活躍されているソプラノの平野孝栄氏との共演も組み入れた。 琴・尺八・三味線・ピアノ・ソプラノという組会わせのセッションは日本でも稀なプログラムとあいなった。

セッションの最後に全員で、お江戸日本橋を演奏したが、特殊な組み合わせにピアニストと尺八奏者がチャンチキや ウッドブロックなどの鳴り物を活用して動き回るパフォーマンスを追加し、ビジュアルにもおもしろいセッションになった。

会場の West Valley College Theater3rd International Piano Music Festival は23日から、26日までの間 教育セッションとコンサートが開催された。 25日はガラコンサートで、ピアノデュオ以外にピアノとバイオリンなどの楽器のアンサンブルの演奏が披露された(クリックで拡大)。

尺八の参加する曲として、新鋭の Marty Regan 氏のピアノトリオと尺八のための
「In Remembrance」と 尺八とピアノの為の「Tears from Heaven」(作曲:Michael Reimann)を演奏した。 In Remembrance は、パガニーニの専門家であるバイオリニストJoseph Gold 氏、 韓国出身で新鋭のチェリストの Augast Lee 氏および豊岡氏の国際色豊かな組み合わせになった(クリックで拡大)。

この曲は September 11を題材に西洋・東洋の手向けを音楽で融合させた曲で、 彼の西洋音楽・東洋音楽の理解の深さを生んだ名曲だ。 バイオリン、チェロ、尺八の大変美しい3声の和音が、西洋−東洋融合を提供できたのではないかと思っている。

じつは選曲にあたって気になったことがある。ピアノと尺八を含む曲というのは大変少ないし、 日本でも演奏される機会は大変少ない。また、尺八という楽器は、陰旋法を中心に演奏されるため、 海外の方からみるとかなり暗い短調の曲ばかりとなる。 今回のコンサートにあたっていくつかの曲を提示したが、KPMF も選曲が難しかったのではないかと思う。 ピアノと尺八という組み合わせによる音楽活動や国際的な場での演奏を考えると、音楽コンテンツの多様性も重要になってくるだろう。

本フェスティバルにあたって、KPMFより Hosted Family による宿泊先を提供していただいた。 シリコンバレーというカルフォルニアでも豊かな地域で、特に滞在先のサラトガ市は、 バレー(谷)の山側にあたる緑の美しい地域である。

写真は、Irene Breckさん邸(クリックで拡大)。 Irene さんのおいしい手料理やカルフォルニアの太陽をあびた特大フルーツ、そして、音楽談義をアットホームな環境のなかで楽しむことができた。地元のボランティアの皆様とのふれあいも、大変思い出深いものとなった。

最後になりましたが、今回のイベント出演にあたりご支援をしていただいた連弾ネットの幹部の皆様、KPMF および Host Family の皆様に感謝の意を表します。

尺八演奏家 立花 茂生

立花 茂生(呂萌山)プロフィール

三橋貴風に琴古流、普化尺八、現代音楽を師事、成田呂久山に都山流を師事。 日本尺八連盟全国尺八コンクール第29回、30回優勝 内閣総理大臣杯、文部科学大臣奨励賞 邦楽合奏団「織座」運営委員長および立花会主宰
93年 第1回ブリーズフレッシュリサイタル オーディション合格
94年 現代音楽にてNHKオーディション合格
97年 琴古流古典本曲にてNHKオーディション合格

主な演奏歴 ブリーズフレッシュリサイタル(93年)、日本の四季(米国KQEDテレビ向け教育番組の音楽担当)、「日本の現代作曲家作品展」で招待演奏(カルフォルニア大バークレイ校音楽学部主催 2003年)、Yahooのコマーシャル音楽演奏(2003年 米国)、デュオ ピアノと尺八(2005年)、邦楽ユニット和座団長として、香港公演を実施(2007年)、邦楽合奏団「織座」定期演奏会(1989年より毎年実施)、アンサンブル「のば」(1998 年まで6回実施)。 その他日本国内(多数)および米国(約回)の演奏

立花茂生(尺八奏者)
立花茂生氏(尺八奏者)

"US-Japan Cultural Excahnge"チラシ
"US-Japan Cultural Exchange" チラシ

"3rd International Piano Music Festival Educational Sessions and Concerts"チラシ
"3rd International Piano Music Festival Educational Sessions and Concerts"
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立花茂生 公式サイト

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